概要
ブロックチェーン技術がもたらす非中央集権型金融(DeFi)の世界は、急速に進化を遂げています。今回は、UniswapとMakerDAOという2つの主要なDeFiプロジェクトについて、その詳細と革新的な仕組みをご紹介します。
ブロックチェーンDAppsとは?
DApps(分散型アプリケーション)は、ブロックチェーン上で動作するアプリケーションのことを指します。従来の中央集権型アプリケーションとは異なり、DAppsは中央管理者が存在せず、透明性が高く、データの改ざんが難しいという特長を持っています。しかし、その一方で処理速度が遅く、ガス代(手数料)が発生するなどの制約もあります。
流動性の新たな形
Uniswapの登場
Uniswapは、Ethereumブロックチェーン上で動作する分散型取引所(DEX)です。従来の中央集権型取引所と異なり、UniswapはAMM(Automated Market Maker)を使用し、流動性提供者がプールに資産を預け入れることで、取引が行われます。
Uniswap仕組み
Uniswapの価格決定メカニズムは非常にシンプルで、任意の2つのERC20トークンをプールに預け、そのトークンの量に基づいて価格が決定されます。各取引には0.3%の手数料がかかり、これが流動性提供者に分配される仕組みです。Uniswapでは、売り手と買い手をマッチングさせるのではなく、コントラクトのプールに対して売買を行います。任意の2つのトークンを交換できるトークンペアがそれぞれ存在し、プール内のトークン残量に応じて価格が算出されます。流動性提供者はトークンをプールに供給し、その対価として手数料収入を得ます。このシンプルな仕組みにより、効率的かつ分散型の取引が実現されています。
プレイヤーとインセンティブ
Uniswapには、トークンを交換したい人と流動性を提供する人の2種類のプレイヤーが存在します。流動性提供者は、プールにトークンを預けることで手数料収入を得るインセンティブがあります。
主要なバージョン
Uniswap V1
2018年に登場し、ETHと任意のERC20トークンのペア取引をサポート。
Uniswap V2
2020年にリリースされ、任意のERC20トークン同士のペア取引が可能に。
Uniswap V3
2021年に導入され、流動性提供の資本効率を大幅に向上させる機能を搭載。
Uniswap V2の仕組み
トークンペア
任意の2つのERC20トークンをペアとして取引が可能。
流動性プール
トークンの売買は流動性プール内で行われ、価格はプール内のトークン量に基づいて決定される。
LPトークン
流動性提供者は、プールにトークンを預け入れると、対応するLP(Liquidity Pool)トークンを受け取る。LPトークンはプール内のトークンの比率に基づいて発行され、いつでも元のトークンと引き換えることができる。
手数料
各取引には0.3%の手数料がかかり、これが流動性提供者に分配される。
ステーブルコインの進化:MakerDAOとSAI
MakerDAOの誕生
MakerDAOは、暗号資産を担保にしたステーブルコインを発行するための分散型自律組織(DAO)です。代表的なステーブルコインとしてDAIがあり、これは1USDにペッグされています。
SAIとは?
SAIは、DAIの前身となる単独担保型のステーブルコインです。以前はDAIと呼ばれていましたが、複数担保型のDAIが導入された後、単独担保型のものはSAIと呼ばれるようになりました。
主要なトークン
WETH(Wrapped ETH)
ETHをERC20トークンとして扱えるようにしたもの。
PETH(Pooled ETH)
WETHをさらに担保としてロックしたもの。
SAIの仕組み
ユーザーはWETHをロックし、それを担保にSAIを発行します。発行されたSAIは1USDと等価であり、これにより安定した価値を提供します。
仕組み | 内容 |
---|---|
担保のロック | ユーザーはWETHをロックし、PETHを取得します。 |
SAIの発行 | PETHを担保にしてSAIを発行します。担保率は150%が必要です。これにより、担保の価値が発行されたSAIの価値を上回るように保たれます。 |
精算の仕組み | 担保率が150%を下回った場合、キーパーが精算を行います。精算されたPETHはTAPコントラクトに移動し、必要な量のSINが増加します。 |
担保と精算
担保率が150%を下回ると、キーパーが精算を行い、担保資産を回収します。これにより、担保割れを防ぎ、システムの安定性を保ちます。
インセンティブ
流動性提供者
流動性提供に対する手数料収入。
キーパー
担保割れしたCDPを精算することで得られる利益。
市場価格調整
SAIの市場価格は、ガバナンスにより手数料を調整することで1USDに維持されます。手数料を引き上げることで供給量を減らし、価格を上げる。逆に、手数料を引き下げることで供給量を増やし、価格を下げる仕組みです。
まとめ
UniswapとMakerDAOは、それぞれの方法でDeFiの可能性を広げています。Uniswapは流動性提供者にインセンティブを与え、分散型取引を可能にしました。
一方、MakerDAOは暗号資産を担保にしたステーブルコインを提供し、安定した価値を提供しています。
これらのプロジェクトは、今後もDeFiの発展に大きく寄与していくことでしょう。
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