
はじめに
前回の記事ではイーサリアムの特徴とビットコインとの違いについて説明しましたが、今回はイーサリアムの構造やルールなどをもう少し掘り下げてみようと思います。
イーサリアムはどのようにして作られているのか?
イーサリアムネットワークの構造
イーサリアムネットワークは、ピアツーピアの構造を持ち、複数のノード(コンピュータ)が相互に接続された分散型ネットワークで構成されています。ノードは主にライトノード、フルノード、アーカイブノードの3種類に分類されます。
このネットワークのノードは、ブロックチェーンのデータを保管し、トランザクションの検証、ブロックの生成など、様々な重要な役割を果たします。
ライトノードはブロックヘッダーのみを保持し、フルノードとアーカイブノードは全てのブロックチェーンデータを保持しますが、ステートデータの保持方法に違いがあります。フルノードは直近の128ブロック分のみ保持し、アーカイブノードは全てのステートデータを保持します。
各ノードはそれぞれ異なる役割を持ち、ネットワーク全体のセキュリティ、信頼性、効率性を維持しています。
フルノード(Full Node)
フルノードは、ブロックチェーン全体のデータを保管し、ネットワーク上の全てのトランザクションを検証する役割を担います。具体的には以下のような機能を持っています。
ブロックチェーンデータの完全保持 | ブロックチェーンの全てのトランザクションとブロックデータを保持します。 |
トランザクション検証 | 新しいトランザクションやブロックを検証し、その正当性を確認します。 |
ネットワークの維持 | 他のノードと連携し、ネットワークの一部として機能します。 |
特徴
フルノードは、イーサリアムネットワークのセキュリティと信頼性を保つために非常に重要です。しかし、そのために必要なストレージや計算リソースは非常に大きくなります。
ライトノード(Light Node)
ライトノードは、ブロックチェーンの全データを保持せず、必要な部分だけをダウンロードして使用します。具体的には、以下のような特徴があります。
ブロックヘッダの保持 | フルノードと違って、ブロックチェーン全体ではなく、ブロックヘッダ(ブロックの要約情報)のみを保持します。 |
トランザクションの簡易検証 | トランザクションの詳細を持たず、簡易的な検証を行います。 |
軽量である | ストレージと計算リソースが少なくて済むため、リソースが限られたデバイスでも運用可能です。 |
特徴
ライトノードは、スマートフォンやIoTデバイスなど、リソースが限られた環境での利用に適しています。
アーカイブノード(Archive Node)
アーカイブノードは、ブロックチェーンの全データを保持する点でフルノードと似ていますが、過去の全てのステート(状態)データも保持します。具体的には以下のような役割を果たします。
完全なデータ保持 | 過去の全てのブロック、トランザクション、ステートデータを保持します。 |
データ分析と検証 | 過去の状態を参照してデータの分析や検証を行います。 |
高度なクエリ対応 | より詳細で複雑なクエリに対応するため、データの完全な履歴を保持します。 |
特徴
アーカイブノードは、データ解析や履歴データの確認が必要なシナリオで重要な役割を果たします。しかし、そのために必要なストレージ容量は非常に大きくなります。
イーサリアムネットワークのトポロジー
イーサリアムネットワークは、P2P(ピアツーピア)ネットワークとして構築されています。各ノードは他のノードと接続し、情報を相互にやり取りします。これにより、ネットワーク全体の分散性と信頼性が確保されています。
ノード間の通信
この分散型ネットワークは、ゴシッププロトコルを使用して情報を伝搬し、各ノードが協力してイーサリアムブロックチェーンの健全な運用を支えています。
ゴシッププロトコル
イーサリアムネットワークでは、ゴシッププロトコルを使用してトランザクションやブロックの情報を伝搬します。これにより、各ノードは効率的に情報を共有し、ネットワーク全体でデータの一貫性を保ちます。
ノードの初期接続
新しいノードがネットワークに参加する際には、既存のノードに接続して情報を取得します。イーサリアムでは、ノードIDが近いノードに接続することで効率的なネットワーク参加を実現しています。
イーサリアムのトランザクションの流れ
イーサリアムのトランザクションの流れは、トランザクションの作成からネットワークへの伝搬、検証、メムプールへの蓄積、マイナーによる選択、ブロック生成、EVMによる実行、そしてブロックチェーンへの記録という一連のプロセスを経て進行します。このプロセスにより、イーサリアムのネットワークは分散型で安全な形で動作します。
イーサリアムのトランザクションの流れ
イーサリアムのトランザクションの流れは以下の図を繰り返し行います。

トランザクションの作成
トランザクションは、EOA(Externally Owned Account)から作成されます。EOAは個人が管理するアカウントで、秘密鍵と公開鍵を持ち、資金やデータの管理が行われます。イーサリアムネットワークのマイナーノードはブロックチェーン外の領域でデータを保持します。
EOAとは?
https://shion.blog/ethereum_1/#toc11
データをブロックチェーン外で保持する理由について
イーサリアムネットワークのマイナーノードがデータをブロックチェーン外で保持する理由は、ストレージ容量の節約、パフォーマンスの向上、プライバシーの確保、コスト削減、スケーラビリティの確保です。これにより、効率的かつ安全にデータ管理が可能です。具体的なオフチェーンソリューションとして、IPFS、ステートチャネル、サイドチェーンなどが利用されます。
トランザクションの伝搬
作成されたトランザクションは、ネットワーク内のノードに送信されます。トランザクションには、以下のような情報が含まれます。
- 送信者と受信者のアドレス
- 送信額(Ether)
- ガス価格とガスリミット
- 任意のデータ(スマートコントラクトの場合)
トポロジーの制約(イーサリアムとビットコインの違い)
Structured P2P network(イーサリアム)
イーサリアムのトランザクション伝搬にはノードを選ぶ際のトポロジーの制約があり、ネットワーク参加時にIDが近いノードを優先的に選び接続します。これにより、トランザクションの伝搬が効率的になり、全体の伝搬速度が向上し、ネットワークの安定性が保たれます。
Unstructured P2P network(ビットコイン)
ビットコインはトポロジーに制約がなく、ノードが自由に接続先を選べます。この自由な接続により、特定ノードへの負荷が集中しやすく、伝搬速度が低下し、フォークの発生が増える可能性があります。結果的に、ネットワークの安定性がやや低くなります。
独立したトランザクションの検証
イーサリアムの独立したトランザクションの検証内容はビットコインと概ね同じですが、設計の違いがあります。
イーサリアム | アカウントベースのモデルを採用し、各アカウントの残高を直接管理します。このため、イーサリアムではガスの検証やトランザクションの順序を管理するナンスのチェックが必要となり、より複雑な状態管理が求められます。 |
ビットコイン | UTXO(未使用トランザクション出力)モデルを採用し、各トランザクションは個別のコインの移動として管理されます。 |
イーサリアムの独立したトランザクションでは、各ノードは受け取ったトランザクションを検証します。検証では以下の点が確認されます。
- 送信者の署名が有効か
- 送信者のアカウントに十分な残高があるか
- ガスリミットが適切か
- トランザクションがイーサリアムで採用されているRLPフォーマットという形式に沿っているか
- トランザクションのナンスが、送信者(EOA)のナンスよりも大きいか?
メムプールの役割
メムプールへの蓄積
検証が成功したトランザクションはメムプールに蓄積されます。メムプールは未処理のトランザクションの待機場所であり、ここにトランザクションが一時的に保管されます。
メルプールの役割
メルプールではトランザクションの検証、整理、優先順位付けを行い、ネットワークの負荷を軽減します。ガス価格が高いトランザクションが優先されることで、迅速な処理が可能です。メルプールには2つのプールがあります。
Pending Pool
Pending Poolは、イーサリアムネットワーク内で非常に重要な役割を果たす領域です。ここでは、検証済みで即座にブロックに追加されるのを待っているトランザクションが保存されます。
役割と機能
Pending Poolはトランザクションが迅速かつ効率的に処理されるための重要な領域であり、ガス価格による優先順位付けを通じてネットワークのパフォーマンスを最適化しています。
即時処理の待機 | Pending Poolに格納されたトランザクションは、すでに検証が完了しており、次に生成されるブロックに含まれるのを待っています。 |
優先順位付け | トランザクションはガス価格(手数料)の高い順に優先されます。これにより、手数料を多く支払う意思のあるユーザーのトランザクションが迅速に処理されます。 |
マイナーの参照 | マイナーはPending Poolを参照して、次のブロックに含めるべきトランザクションを選びます。ガス価格が高いトランザクションが選ばれやすくなります。 |
Queued Pool
Queued Poolは、Pending Poolと共にイーサリアムネットワークにおけるトランザクション管理の一部を担う重要な領域です。何か理由があり、他のトランザクションが処理されるのを待っているトランザクションが保存される場所です。
役割と機能
Queued Poolは、依存関係や前提条件が未解決のトランザクションを一時的に保持する領域であり、前提条件が満たされていないトランザクションをすぐに処理しようとするのではなく、順番待ちをすることでネットワークの混雑を避けることができます。Pending Poolに移行するための待機エリアとして機能し、トランザクションがスムーズに処理されるようサポートします。
これによりイーサリアムネットワーク全体の効率と安定性を保つ役割を果たしています。
依存関係の管理 | Queued Poolには、何らかの理由で直ちに処理できないトランザクションが格納されます。主な理由は、前提となるトランザクションが未処理である場合、Queued Poolに格納されます。 |
条件付きの処理 | イーサリアムのアカウントベースのモデルでは、トランザクションはアカウントの状態に依存します。例えば、アカウントの残高が特定のトランザクションの実行に十分でなければ、そのトランザクションはQueued Poolに送られ、前のトランザクションが完了し残高が更新されるのを待ちます。 |
ナンス管理 | 各トランザクションにはナンスという連続した番号が割り当てられており、これによりトランザクションの順序が管理されます。ナンスが連続していないトランザクションは、前のトランザクションが完了するまでQueued Poolに入ります。 |
マイナーによるトランザクションの選択
マイナーはメムプールからトランザクションを選び、ブロックを生成します。マイナーは通常、ガス価格が高いトランザクションを優先して選択します。これにより、より多くの報酬を得ることができます。
ブロックの生成
マイナーは選択したトランザクションを含む新しいブロックを生成し、そのブロックをネットワーク全体に伝搬させます。ブロックには以下の情報が含まれます。
- 前のブロックのハッシュ
- 選択したトランザクション
- マイナーのアドレス
- その他のブロック関連データ
Bitcoin Protocolとの違い
イーサリアムのブロックのデータ構造はTheMerge (PoW→PoSへの移行)で大きく変化するのですが、従来のイーサリアムのブロックから今でも残っている構造として「State Root」, 「Receipt Root」も格納していることと、Block gasLimit によって上限サイズが決まっていることは変わっていない重要な特徴である。
イーサリアムブロックのデータ構造

ブロックヘッダの新要素

イーサリアムのState Root、Receipt Rootの格納、およびblock gas limitの上限サイズの決定について
State Root
説明 | State Rootはブロックチェーン全体の状態(各アカウントの残高やストレージ)を表すハッシュ値です。 |
役割 | 各ブロックはState Rootを持ち、そのブロック時点での全体の状態を一意に識別できます。これにより、状態の一貫性と正確性が保証されます。 |
Receipt Root
説明 | Receipt Rootは、各トランザクションの実行結果を含むトランザクションレシートを格納したマークルツリーのルートハッシュです。 |
役割 | 各ブロックはReceipt Rootを持ち、そのブロック内のトランザクション結果の整合性を保証します。これにより、各トランザクションの結果が改ざんされていないことを確認できます。 |
Block Gas Limit
説明 | Block Gas Limitは、各ブロックで消費できるガスの総量の上限を定めています。ガスは計算資源の消費量を測る単位です。 |
役割 | Block Gas Limitにより、一つのブロックに含まれるトランザクションの複雑さに上限が設けられます。これにより、ブロックのサイズや処理時間が一定の範囲内に収まり、ネットワークの健全性と安定性が保たれます。 |
各ノードの保持データ
ノード タイプ | 保持データ | 対応する状態 (state) データ |
---|---|---|
ライトノード | ブロックヘッダ | transaction root, state root, receipt root |
フルノード | 全てのブロックデータ | transaction root, state root, receipt root transaction data, state data (latest 128 blocks) receipt data (latest 128 blocks) |
アーカイブ ノード | 全てのブロックデータ 全ての状態 (state) データ | transaction root, state root, receipt root transaction data, state data, receipt data |
トランザクションの実行
トランザクションはEVM(Ethereum Virtual Machine)によって実行されます。EVMはイーサリアムの分散コンピュータであり、スマートコントラクトのコードを実行します。スマートコントラクトは通常、Solidityで書かれています。EVMは以下の手順でトランザクションを処理します。
- トランザクションのデータを解析
- 必要な計算を実行
- 結果をブロックチェーンに反映
EVMとは?
https://shion.blog/ethereum_1/#toc24
ナンスの更新
ナンスは、各アカウントのトランザクションが一意であり、正しい順序で実行されることを保証するために使用されます。
トランザクションを実行する際、送信元のアカウントのナンスが1増加します。ナンスは各アカウントのトランザクションの実行順序を管理するためのカウンターです。これにより、各トランザクションが一意に識別され、同じトランザクションが二重に実行されることを防ぎます。
ブロックチェーンへの記録
新しいブロックが生成され、ネットワーク全体に承認されると、そのブロックはブロックチェーンに追加されます。これにより、トランザクションが正式に記録され、不可逆的な形で保管されます。
ブロックの構造と検証
ブロックの構造
ブロックはトランザクションデータ、ステートデータのルート、レシートデータのルートなど多くの要素を含んでいます。これらのデータはマークルパトリシアツリーで集約され、ブロックヘッダーに格納されます。各ノードは新しいブロックを受け取ると、独立してトランザクションを実行し、ステートデータを更新します。


独立したブロックの検証
ブロックの検証において、各ノードは以下の3つのリストのデータが正しいかを確認します。これらのルートハッシュが一致することを確認することで、ブロックの整合性と一貫性が保たれ、イーサリアムネットワーク全体の信頼性が維持されます。
ステートデータのリスト(状態データ)
State Root | 全体の状態データのルートハッシュです。これには、各アカウントの残高やスマートコントラクトのストレージデータなどが含まれます。 |
役割 | 状態データのルートハッシュを確認することで、ブロックのトランザクション実行後の全体の状態が正しいかを検証します。これにより、すべてのアカウント残高やスマートコントラクトのデータが一貫していることを保証します。 |
レシートのリスト
Receipts Root | 各トランザクションの実行結果(レシート)のルートハッシュです。レシートには、トランザクションが成功したか失敗したか、使用されたガス量、生成されたログなどが含まれます。 |
役割 | レシートのルートハッシュを確認することで、トランザクションの実行結果が正しいかを検証します。これにより、トランザクションの成功や失敗の記録、消費されたガス量などが正確であることを保証します。 |
トランザクションのリスト
Transaction Root | ブロック内の全トランザクションのルートハッシュです。各トランザクションには、送信元、送信先、送信額、ガス価格、ナンス、データが含まれます。 |
役割 | トランザクションのルートハッシュを確認することで、ブロック内のトランザクションデータが正しいかを検証します。これにより、トランザクションデータが改ざんされていないことを保証します。 |

コンセンサスとマイニング報酬
イーサリアムは当初プルーフオブワーク(PoW)を採用していましたが、現在(イーサリアム2.0)はプルーフオブステイク(PoS)に移行しています。PoSではバリデーターが確率的に選ばれ、ブロックを作成します。コンセンサスアルゴリズムの形成にはゴーストプロトコルを使用し、「最も長いチェーン」ではなく「最も重いチェーン」を正当なチェーンとします。
ゴーストプロトコル
GHOST(Greedy Heaviest Observed Subtree)プロトコルは、イーサリアムのコンセンサスメカニズムで使用されるプロトコルです。このプロトコルは、ブロックチェーンにおけるブロックの選択方法を改善するために導入されました。
「最も重いチェーン」の概念
「最も重いチェーン」とは、チェーンの長さだけでなく、ブロックの数とそのブロックの「重み」(difficultyの合計)を基にしてチェーンを評価する方法です。これは短いブロック生成時間に伴うオーファンブロックを有効活用し、攻撃耐性を高め、分散化を促進することが狙いです。これにより、イーサリアムネットワーク全体の安全性と効率性が向上します。
「最も重いチェーン」を選ぶ 理由と利点
理由 | 利点 |
---|---|
高速なブロック生成 | イーサリアムでは、ブロック生成時間が短いため、ブロックが頻繁に生成され、オーファンブロック(孤立したブロック)が多くなります。GHOSTプロトコルを使用することで、これらのオーファンブロックも考慮に入れられ、ネットワーク全体の安全性が向上します。 |
セキュリティの向上 | 「最も重いチェーン」は、チェーンの累積難易度(difficulty)の総和が最大のチェーンを選択します。これにより、攻撃者がチェーンを改ざんするのが難しくなります。難易度の高いブロックを含むチェーンが選ばれるため、全体的なセキュリティが強化されます。 |
分散化の促進 | 多くのマイナーが参加しているネットワークでは、ブロック生成の競争が激しくなり、複数のチェーンが同時に成長する可能性があります。GHOSTプロトコルを使用することで、これらのチェーンが公平に評価され、分散型のネットワーク運営が促進されます。 |
リソースの有効活用 | オーファンブロックが無駄になるのを防ぎ、ネットワークのリソースを効率的に利用することができます。GHOSTプロトコルでは、オーファンブロックも「重み」の評価に貢献するため、無駄が減り、マイニングの努力がより効果的に反映されます。 |
マイニング報酬
イーサリアムのマイニング報酬は、ブロックを生成および追加するマイナーに対するインセンティブとして機能します。これにより、ネットワークのセキュリティと運用が維持されます。マイニング報酬は以下の3つの主要な要素から構成されます。
報酬 | 報酬内訳 |
---|---|
ベース報酬 | 新しいブロックを生成したマイナーに支払われる固定報酬。(2 ETH) |
ガス代 | ブロック内のトランザクションに対して支払われる手数料。 |
Uncle Block Reward | チェーンに含まれなかったが生成されたブロックに対する報酬。 生成される理由: ブロックチェーン全体のセキュリティと効率性を高めるために、マイナーが積極的にUncle Blockを生成・包含するインセンティブが提供されています。 |
Uncle Block Rewardの計算について
イーサリアムのマイニング報酬において、Uncle Block Reward は通常のブロック報酬に追加される形で支払われます。Uncle Block Rewardの報酬は、次のように計算されます。
Uncle Blockを生成したマイナーへの報酬
- Uncle Blockの報酬は、通常のブロック報酬の7/8です。
- たとえば、通常のブロック報酬が2 ETHであれば、Uncle Block報酬は (7/8) * 2 ETH = 1.75 ETH です。
Uncle Blockを含むブロックのマイナーへの報酬
- Uncle Blockを含むことで、マイナーは追加の報酬を得ます。
- この報酬は、通常のブロック報酬の1/32です。
- たとえば、通常のブロック報酬が2 ETHであれば、この報酬は (1/32) * 2 ETH = 0.0625 ETH です。
具体的な例
通常のブロック報酬が2 ETHの場合
Uncle Blockを生成したマイナー | 1.75 ETHを受け取ります。 |
Uncle Blockを含むブロックのマイナー | 0.0625 ETHを追加で受け取ります。 |
この場合、Uncle Blockを含むブロックが1つの場合、合計で2.0625 ETHがマイナーに支払われることになります。2 ETH+0.0625 ETH=2.0625 ETH。
Uncle Blockを生成したマイナーの場合、1.75ETHを追加で受け取ることができます。
ガバナンスとEIP
イーサリアムのガバナンスはEIP(Ethereum Improvement Proposal)を通じて行われます。EIPにはコアプロトコルの変更、ERC(Ethereum Request for Comments)などの標準化提案が含まれます。歴史的には、ハードフォークや分岐が複数回行われ、イーサリアムクラシックやイーサリアムPOWなどが誕生しました。
EIPの種類
EIPは、イーサリアムネットワークの改善や新機能の追加を提案するための正式なプロセスです。EIPには以下の種類があります。
EIPの種類 | 説明 | 具体例 | 内容 |
---|---|---|---|
Core EIP | コアプロトコルの変更を提案します。これには、コンセンサスアルゴリズムの変更や新しいオペコードの追加が含まれます。 | EIP-20 | ERC-20トークン標準は、イーサリアム上で代替可能なトークンを作成するための基本的なインターフェースを定義しています。これは最も広く使用されているトークン標準の一つです。 |
ERC | アプリケーションレベルの標準化提案です。最も有名なのはERC-20で、トークンの標準を定義しています。他にも、ERC-721(NFTの標準)などがあります。 | ERC-721 | このERCは、NFT(非代替性トークン)の標準を定義しています。各トークンはユニークであり、デジタルアートやコレクティブルなどに使用されます。 |
Networking EIP | P2Pプロトコルの改良やネットワークの性能向上を目的とした提案です。 | EIP-8 | このEIPは、P2Pプロトコルで互換性のあるメッセージフォーマットを導入し、将来的なアップデートに対応できるようにするためのものです。 |
Interface EIP | アプリケーションやユーザーインターフェースの標準を提案します。 | EIP-165 | このEIPは、コントラクトが特定のインターフェースをサポートしているかどうかを検出する標準的な方法を提供します。これにより、異なるコントラクト間での互換性チェックが容易になります。 |
スケーラビリティ問題と今後の展望
スケーラビリティの問題
スケーラビリティの問題とは、イーサリアムネットワークが増大するトランザクションの数を効率的に処理できないという課題を指します。具体的には以下のような問題が含まれます。
トランザクション処理速度の制限
現在のイーサリアムネットワークは、秒間に処理できるトランザクションの数(TPS)が限られています。これにより、トランザクションの数が増えると、処理が滞り、待ち時間が長くなります。
解決策 → Proof of Stake (PoS) への移行
PoSにより、ブロック生成の効率が向上し、エネルギー消費が削減されます。これにより、ネットワークのスケーラビリティが改善されます。
ガス料金の高騰
ネットワークが混雑すると、ユーザーはトランザクションの優先順位を上げるために高いガス料金を支払う必要があります。これにより、取引コストが増加し、小規模な取引が非経済的になります。
解決策 → レイヤー2ソリューションの導入
レイヤー2技術(例:Rollups、Plasma、State Channels)は、トランザクションをメインチェーンの外部で処理し、ネットワークの負荷を軽減します。
ブロックサイズと時間の制約
イーサリアムのブロックサイズと生成時間には制限があります。これにより、一度に処理できるトランザクションの数が制限され、スループットの向上が困難です。
解決策 → シャーディング
シャーディングは、ネットワークを複数の部分(シャード)に分割し、それぞれが独立してトランザクションを処理できるようにする技術です。これにより、全体的な処理能力が大幅に向上します。
ネットワークの分散性の低下
スケーラビリティを高めるための中央集権的な解決策は、ネットワークの分散性とセキュリティを損なう可能性があります。
解決策 → イーサリアム2.0の導入
イーサリアム2.0は、PoSやシャーディングなどの技術を組み合わせてスケーラビリティを大幅に向上させることを目指しています。
今後の展望
イーサリアムのスケーラビリティ問題は、これらの技術的な進歩によって徐々に解決されると期待されています。特に、イーサリアム2.0の完全実装が完了すれば、ネットワークのスケーラビリティは飛躍的に向上し、目標とする10万TPSを達成する可能性があります。これにより、イーサリアムはより多くのユーザーとアプリケーションをサポートできるようになります。
The Mergeとは?
「The Merge(ザ・マージ)」は、イーサリアムのネットワークが従来のProof of Work(PoW)コンセンサスアルゴリズムからProof of Stake(PoS)コンセンサスアルゴリズムに移行する重要なアップグレードのことを指します。この移行は、イーサリアム2.0 への進化の一環として行われました。
The Mergeの仕組み
The Mergeは、既存のイーサリアムメインネット(PoWチェーン)とBeacon Chain(PoSチェーン)を統合するプロセスです。Beacon Chainは2020年12月にローンチされ、最初はPoWチェーンと並行して動作していました。The Mergeが完了すると、Beacon Chainが新しいブロックチェーンの基盤となり、イーサリアム全体がPoSに移行します。
この統合により、トランザクションの処理やブロックの生成がすべてPoSによって行われるようになります。
まとめ
イーサリアムは、従来のビットコインプロトコルを一般化し、送金などの単純な処理からプログラムの実行へと拡張した次世代のブロックチェーンプラットフォームです。
管理対象も、単なるビットコインの移転記録からアカウントが持つ状態(state)の遷移記録へと進化しています。イーサリアムは、電卓からプログラム内蔵方式のコンピュータへと進化した「ワールドコンピュータ」として機能します。
この一般化を実現するために、イーサリアムはビットコインプロトコルの様々な仕様(アカウント、トランザクション、ブロック、ブロックチェーン、コンセンサスなど)を大幅に変更しました。
つまり、イーサリアムは単なる仮想通貨プラットフォームを超え、プログラム可能な世界規模の分散コンピュータネットワークとして位置づけられます。
コメント